大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

エジプトへの逃避「ブシコー元帥の時禱書」より

ブシコー(元帥)の画家と呼ばれる画家はフランドル出身のジャン・ル・マングルだとされる。
ベリー公に仕えていたジャックマール・ド・エダンの影響下から出発し、イタリア絵画の動向も受け入れて1400年代の北方で最も進んだ空間表現技法を開発した。
「エジプトへの逃避(右図)」では前景の宮廷風の色彩で描かれた説話の登場人物の背景に、金彩の光に照らされた遠くの風景まで写実的に描かれている。また室内空間にも透視図法表現を用いている。
ブシコー元帥は14世紀末から15世紀初めにかけて騎士道の華と謳われた人物。
1396年ニコポリスでトルコ軍と戦い囚われの身となった。帰国後1400年代にはジェノヴァ総督となったが、1415年のアザンクールの戦いでイギリス軍に捕らえられイギリスで死去した。

この写本はブシコーの甥に渡り巻末に2枚の挿絵が加えられた。その後エマール・ド・ポワティエの所有となり、1490年頃一部を除き紋章や標語がポワティエのものに変えられた。16世紀にはアンリ2世の愛人ディアーヌ・ド・ポワティエの所持品となっていた。